私の近作についてⅤ

2006年3月号

一昨年の個展以来、私は日本の風景に執り憑かれ、描き続けております。前回は、今まで多くの画家たちが取り組んできた富士や桜島、奥入瀬など、最も代表的でオーソドックスなテーマを、今の自分なら一体どう描けるのか試してみたいという心境で始まりました。今回は、甲斐駒や妙義など、屹立する岩が荒ぶる自然や、父の故郷である岩手の限りなくモノクロームに近い廠冬の凰景などを力強いタッチでやってみようと思っております。 目然のなかに身をおき、刻々と移り変わる世界を目にしていると、その中で一瞬きらりと耀く光景に出会うことがあります。或る時は何日も掛かっていた雪雲が晴れ、神々しき山頂が姿をみせてくれた時であったり、また或る時は朝日によって本当に燃え上がるが如く真紅に照らされた岩肌が現nた時であったりと、そういうものを見せられると、まるで人密の及ばない大いなる何者かに、さあ、これを描いてみろと言われているかのようにも感じられてしまうのです。 最近、「風景Jとは、己を映し出す鏡のようなものではないかと考えております。自分とは何なのか。本性は何なのか。その笞えを捜す旅はこれからも続きます。

  
Artist瀬川 智貴(Tomotaka Segawa)
ProfilePROFILE
Websitehttps://segawa-tomotaka.com

文責:瀬川智貴
(※注)内容は取材当時のものです。

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