西松幹浩さんの世界

1995年2月号

絵を描くというのは、どこで筆を置くのかがいちばん難しいようです。描いてゆくうちに、だんだんと初めの新鮮さがなくなってくるからでしょうか。

今回紹介する西松幹浩君は、そういう意味で、とても潔く絵を終わらせる人です。明る<、軽妙でいて繊細な筆遣いは、まるで彼の人柄そのものです。その彼が、カナダのモントリオールに移り住んで数年がたちます。画描きにとって、どこに住まうかは、かなり作品にも影響があるようで、彼の世界もカナダの風土のようにモノクロームの渋い色調が増え、形も抽象的方向へ向かっています。

しかし、その雲を思わせる形の中にも彼のユーモラスな感覚は失われていないようです。そういえば、以前から作品に登場する顔も魚も雲も、どこか彼自身に見えてくるのが不思議です。今後の展開がどうなるか楽しみなアーチストです。


  
Artist西松幹浩(Mikihiro Nishimatsu)

文責:瀬川智貴
(※注)内容は取材当時のものです。

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