栗本夏樹さんの世界

1995年1月号

漆というと、私たちはいったい何を想い浮かべるでしょう。汁椀や茶托、盆、茶道の棗(なつめ)などの器類や、仏具など、古くさい伝統的なものではないでしょうか。ここに紹介する栗本夏樹君は、そういう伝統工芸的な漆の世界から、遠くかけ離れた、プリミティプな雰囲気の大きなオプジェを得意とする気鋭のアーティストです。

数年前、ある寺の住職に彼を紹介したのが縁で依頼されたのが、ここに載せた重箱です。

実は私も、オブジェしか見たことがなかったので、どんな重箱になるのかと思っていたところ、予想に反して非常にシンプルなものに仕上がっていたことに驚かされました。また、重箱というと朱色や黒が多い中で、青という色が新鮮な印象を受けました。聞くところによると、色漆で青が使われるようになったのは、最近になってからのようです。オブジェ的な仕事はもちろんですが、逆に彼のこういうシンプルな器を見ると、並ならぬ力屈が感じられます。使わずに飾っておきたい一点です。


  
Artist栗本夏樹(Kurimoto Natsuki)
Websitehttp://www.kcua.ac.jp/professors/natsuki-kurimoto/?fbclid=IwAR0osSBOO0MmWrQJ05-TxK2G15z0Kx1UrvmVWpKfj6X9IHHeaFGQXAhRJd4
facebookhttps://www.facebook.com/profile.php?id=100011655124038

文責:瀬川智貴
(※注)内容は取材当時のものです。

PAGE TOP

NEXT

西松幹浩さんの世界

PAGE TOP